【極湧泉杯準優勝構築】蜻蛉ルチェンマンダマンムー【シングル66】
7月から8月に渡ってオンラインで開催されたシングル66の大会「極湧泉杯」で使用した構築の紹介です。
優勝できるだけのポテンシャルがある構築でしたが、プレイヤースキルが伴わず結果は準優勝。
構築については何度も調整を重ねており、これ以上のものはできないと確信を持って言えるぐらいには完成度を高めたつもりでした。しかし、それを扱う者が弱くてはお話になりませんね。構築に罪はなく、プレイヤーとしての力量のなさを思い知らされました。
【使用構築】
【構築完成までの経緯】※以下常体
強者が集うこの大会でどのような構築で挑み、そして結果を残せるかを考えた時に「冒険をしないこと」が重要であると考えた。
というのもSM以降は目を引くようなポケモンやギミックを考えそれを通すことを目的とした構築を組むことが多く、それが今一つ結果に繋がっていなかった。
そこで今回はそうした試験的な試みや「ちょっと個性出しちゃいたい欲」を抑え自分が扱える中で最強の構築系統である『蜻蛉ルチェン軸』の構築を究極の強さに引きあげることを目的としてパーティ制作を行っていった。
『蜻蛉ルチェン』のギミックが扱えるポケモンの中で最も注目したのが「ハッサム」だった。
最近のシングル66の大会を見ているとフェローチェの使用率が上がり、より環境が高速化してきたような印象を受けた。こうした高速化した環境に於いてハッサムの「フェローチェやゲッコウガの氷技を読んで繰り出し、そのまま上から縛り返すことのできる点」にとても魅力を感じ、このポケモンが本構築の始点となった。
その後の構築の経緯については個別解説で触れて行こうと思う。
【個別解説】
マンムー@こだわりハチマキ
意地っ張り 185-198(236)-100-x-111(244)-104(28)
◇採用理由
地面の一貫を切りつつハッサムが起点にされるメガボーマンダのストッパーとして採用。
目を引くのが持ち物のこだわりハチマキだが、そもそもマンムーというポケモンが構築に刺さりがちなのに1ターンを犠牲にしてまでステルスロックを撒くという行為に非常に勿体なさを感じていた。この構築ではウォッシュロトムに「きりばらい」を採用していることもあり、いっそのことステルスロックを切りこだわりハチマキを持たせることで崩し性能に特化させることにした。実際は先制技を耐えると思っているメガボーマンダを体力満タンに近い状態から一発で沈めたり蓄積の入ったフェローチェを礫で落としたりとストッパーとしての性能の方により磨きが掛かっていたと思う。
◇技構成
メガボーマンダのストッパーとして必要不可欠な技。「こだわりハチマキ」により威力が底上げされ、ステルスロックなしでもストッパーとしての役割を十分に果たしてくれた。
・じしん
タイプ一致のメインウェポン。耐久水を崩すのに必要な為、切ることはできない。
こちらもタイプ一致の強力なメインウェポン。連続技であるため身代わりグライオンを強力に牽制できる。
・ばかぢから
蜻蛉ルチェンのサイクルを組む上で重くなるナットレイを処理するための技として採用。単純に格闘打点が一貫しやすいのも◎
メガボーマンダ@メガストーン
しんちょう 191(164)-166(4)-151(4)-x-154(236)-153(100)
<捨て身タックル じしん どくどく はねやすめ>
◇採用理由
構築全体として前のめりなポケモンが多く、受けが手薄になりがちだったので本構築ではエースとしての採用ではなく補完としてサイクルを回すことを重視した構成で採用した。その為一般的なシングル66のメガボーマンダよりも耐久に厚く割き、不一致4倍弱点を突かれた程度では機能停止しないようにしている。また、ステルスロックを一切撒かない都合上、相手のウルガモスが重くなりがちだがここまで耐久に割くことで一舞ノーマルZはかいこうせんまで耐えて切り返すことが可能になっている。
◇技構成
高威力・命中安定のメインウェポン。ステルスロックが除去されている状態下で動くことが殆どなので反動ダメージはあまり気にならなかった。
・じしん
この枠はみがわりとの選択だったが、相手のドリュウズやヒードランの処理速度が落ちるのを嫌い地震で採用した。特にドリュウズは隙をみせた途端つのドリルで崩しに掛かってくるのでこうした打点を持つことは重要であったと思う。
・どくどく
呼ぶクレセリヤやサンダーにどくどくを当てておくことでエースであるバシャーモが暴れやすくなるので採用。バシャーモをエースに据えるうえでクレセリアの突破が鬼門だったのでそれを容易にしてくれるこの技は優秀だった。
・はねやすめ
サイクルを担うポケモンとして自身の回復ソースとなる技は必須。きりばらいによるステルスロックの盤面除去と合わせてより粘り強く戦うことが可能に。
おっとり 167(100)-126(4)-81-202(148)-101(4)-153(252)
<ボルトチェンジ めざめるパワー氷 サイコキネシス ばかぢから>
◇採用理由
二枚目の電気の一貫を切る枠として採用。電気の一貫を切る枠がマンムーだけでは交換読みの気合い玉や草結びで簡単に崩壊しがちだが役割を重複させることでそう簡単には崩されなくなる。また、ウォッシュロトムがその性質上消耗の多いポケモンであるため、電気タイプとしての圧力は主にこのポケモンで掛けていくことになる。
持ち物はとつげきチョッキを持たせることでタイマン性能を強化し、フェローチェやゲッコウガ対面で強気に動くことが可能となる。これらのポケモンの上を取れるようになるこだわりスカーフも候補に挙がっていたが、仮想敵であるテッカグヤが「まもる」を持っていることが多く、まもるで様子見を行われてから安全に後投げが成立する流れがとても弱いと感じていた為、今回は不採用とした。
配分は単純なCSにせずにステルスロック込みでゲッコウガのれいとうビームを耐えるくらいまで耐久を確保した。
◇技構成
タイプ一致の対面操作技。とんぼがえりにすることで地面タイプに透かされるリスクをケアできるが、他3つの技も切れず技スペ的にタイプ一致電気打点と対面操作を同時に行えるボルトチェンジの採用に落ち着いた。
・めざめるパワー氷
メガボーマンダや霊獣ランドロスへの打点として採用。相手の霊獣ボルトロスと打ち合う場面も多かった。
メガフシギバナやモロバレルなどの草タイプが絡んでくるサイクル戦に於いて真価を発揮する技。蜻蛉ルチェンで回しているだけでは処理の難しい相手だが、この技を仕込むことで相手のサイクルに深刻なダメージを与えることが可能。
・ばかぢから
主にバンドリやマンムーに対する打点として採用。砂ドリュに上から展開され続ける展開は避けたい為、バンギラスは早めに処理して天候を奪っておきたい。Bに下降補正を掛けてまでばかぢからを採用しているが、命中安定なだけではなく主な仮想敵であるバンギラスはHD基調の個体が多いため気合い玉よりばかぢからの方が通りがよいのもポイント。
バシャーモ@クサZ
ひかえめ 155-x-90-178(252)-91(4)-132(252)
◇採用理由
蜻蛉ルチェンから展開する圧倒的エースとして採用。
デンキZ型警戒で一度ランドロスに引く立ち回りを取られることが多く、そこに身代わりを置く立ち回りが刺さった。
強力なポケモン故に対策も多く取られているが、環境に合わせていくらでもカスタマイズできるポケモンなので今後も弱くなることはないと思う。
◇技構成
・みがわり
最近のシングル66の大会でデンキZバシャーモが結果を残していたこともあり、安易に水タイプの後投げを行わずに一度別のポケモンを経由する立ち回りを取るプレイヤーが増えるだろうと予想を立てていた。(もしくは一度水タイプを投げて型をみてから即引きで地面タイプを出す立ち回り) そのどちらの行動もケアできる技として身代わりは非常に強力だった。みがわりバトンをチラつかせることで対面の水タイプを処理しやすくなるのも優秀。
タイプ一致メインウェポン。命中に不安が残るが、「いのちのたま」なしのかえんほうしゃでは火力が足りず今回はこの技を採用した。
・めざめるパワー氷
霊獣ランドロス、メガボーマンダへの打点として採用。抜きエースとして範囲を広げるためにも切ることのできない技。
Z化させ相手の水枠から崩していくことが狙い。デンキZとの差別化点としては「いかく」に強く積み技での下準備がいらないことだが、同時にドヒドイデの突破が厳しくなってしまった。しかしドヒドイデ絡みのサイクル構築は徹底的に対策され数が少なくなると予想しており実際に予選では一度も当たらなかったのでこの点については問題なかった。
ウォッシュロトム@オボンの実
ひかえめ 156(244)-x-137(76)-154(116)-129(12)-114(60)
<10まんボルト ハイドロポンプ ボルトチェンジ きりばらい>
◇採用理由
構築は非常に前のめりなものに仕上がったがメガボーマンダや霊獣ボルトロスを採用したことでステルスロックを撒かれているだけで動かしづらいという問題があった。そこでこの問題を解決するためにきりばらい枠としてほとんどのステルスロック要員に強く、雑に繰り出していく能力に優れるウォッシュロトムを採用した。きりばらい枠としては再生回復の手段を持たないのがやや心細いがサイクルに参加させやすいという点でカミツルギと同じくらい信頼している。
◇技構成
居座りながら撃てる電気打点ということで採用したが正直一度も撃たなかった。結果論かもしれないがメタグロスやハッサムに当てられる鬼火の方がまだ使い道があったように思う。
タイプ一致メインウェポン。外すのであまり撃ちたくはない技だが熱湯を覚えてくれないので仕方ない。いかにも覚えそうな見た目なのにいつも違和感を感じている(
対面操作技。基本的には地面タイプを呼ばないポケモンなので通りやすい。
シングル66界に革命を起こした技(と個人的には思っている。)サイクル戦の多いシングル66ではダメージレースで少しでも相手より優位に立つためにステルスロックをお互いに展開するのが定石だったがこの技のおかげでその常識がひっくりかえった。
本構築のようにそもそもステルスロックを撒かない構築やたとえ撒く構築であってもゲームプランに応じて自在に盤名をスイッチできるようになるきりばらいという技は今ではもう一家に一台レベルで自然に採用されるようになってもおかしくはないと思う。
個人的には今まであまり日の目を見ることのなかったウルガモスやカイリューといったポケモンが活躍している姿を見てみたいのでこれからもっとこの技の研究が進んでくれると嬉しい。
ハッサム@マゴの実
いじっぱり 167(172)-200(252)-121(4)-x-101(4)-95(76)
<とんぼがえり バレットパンチ つるぎのまい はたきおとす>
◇採用理由
構築の始点となったポケモン。元々強いポケモンではあるが決勝の相手の方も採用しており、環境の高速化に伴い再度注目されるようになってきたと感じる。序中盤のサイクルに組み込みやすく対面操作、終盤のスイーパーもできてやはり強かった。
何度も場に出したいポケモンなので持ち物は半回復実を持たせて動かせる回数を増やした。
◇技構成
・とんぼがえり
先制バレパンの圧力を掛けつつ蜻蛉を回す立ち回りは強力だが何も考えずに撃っていい技ではなくリスクリターンの把握は必要。
タイプ一致の強力な先制技でありハッサムたらしめる技。
終盤の掃除役となれるよう呼ぶポケモンを自身で無理やり突破していけるようにするために採用。
・はたきおとす
マンムーにはたきおとすを採用できなかったのでこのポケモンに採用。
【雑感】
スタンダードな構築相手には基本的に有利に戦える一方で、イーブイバトンやガチトリパなどメタの外側から搦め手で攻めてくる構築には不利を取りやすく、実際に予選での負け試合の一つがわふたーさんのガチトリパによるものだった。また、フェアリータイプを採用していない関係でジャラランガZを確実に通されてしまうがこれについては現環境でジャラランガを通して勝てるビジョンが全く浮かばなかったのでZ型で採用する人はまずいないと踏んで割り切っていた。しかし、決勝でまさかのZジャラランガ入りを引いてしまう(
Z技こそ通してしまう構築だったが処理ルートはしっかり用意していたのでジャラランガの突破には成功するものの、対ジャラへの立ち回りに気を取られすぎてメガハッサムの突破手段を失う失態を犯す。落ち着いて対処すれば勝てた試合だっただけに非常に悔しい思いをした。
決勝については悔いの残る内容になってしまったが、全体的に自分のやりたいポケモンを通すことができた。やはり自分には蜻蛉ルチェンしかないと強く実感したしこれからもこの構築系統を研究し続けていこうと思う。
終わり。